【シリコンバレー=白石武志】米フェイスブックで最大8700万人分の個人情報が不正流用された問題をめぐり、調査を進めていた米連邦取引委員会(FTC)が同社と数十億ドル(数千億円)の制裁金の支払いで合意する可能性があることが14日、明らかになった。米紙ワシントン・ポストなどが報じた。プライバシーに関するFTCの制裁金としては過去最大規模になるという。

英ケンブリッジ大学の研究者が学術目的で得たフェイスブックの利用者データを英データ分析会社に不正に横流ししたとされる問題は、2018年3月に発覚した。データは16年の米大統領選でトランプ氏に有利になるように使われたとされ、18年4月にはフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が米議会で証言を求められる事態に発展した。

FTCは不正流用の発覚後、フェイスブックが個人情報を適切に管理していたかについて調査に乗り出すと表明していた。FTCは過去にも利用者の個人データを承諾なく第三者に提供したなどとして同社を調べており、個人情報に関する機能変更を加える場合には事前に利用者の同意を得ることなどで11年に和解している。今回の調査ではこの和解の際の合意内容に違反があったかどうかが焦点になっているとみられる。

個人情報保護をめぐっては、過去にFTCがグーグルによる消費者のネット閲覧履歴の収集手法を問題視し、同社に2250万ドル(約25億円)の制裁金の支払いを命じたケースがある。米メディアはFTCとフェイスブックの交渉はなお続いているとしているものの、同社に対する制裁金はこうした過去の事例を大きく上回る可能性がある。
2019/2/15 14:47
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41314160V10C19A2TJC000/