Appleは古いiPhoneのピーク性能を落としていた問題を受け、iPhoneのバッテリー交換費用を60%以上値下げするという対応をとりました。このバッテリー交換プログラムの値下げは2018年12月31日で終了したのですが、バッテリーの値下げが発表された2017年12月29日からの約1年間でなんと1100万台ものiPhoneがバッテリー交換プログラムを利用したことが明らかになっています。

2017年末に発覚した古いiPhoneのピーク性能低下問題への対処として、Appleはバッテリー交換費用を60%以上値下げすることを発表。バッテリー交換費用の値下げは2018年12月31日まで続いていました。

値下げ期間が終わった2019年1月、Appleのティム・クックCEOは従業員と会議を開いたそうで、その内容をDaring Fireballがリークしています。Daring Fireballによると、クックCEOは値下げ期間中にバッテリー交換を行ったiPhoneの数が1100万台にのぼると明かしたそうです。値下げ発表当初は約100万〜200万台がバッテリー交換プログラムを利用すると予測していたそうで、これだけの数のiPhoneがバッテリー交換プログラムを利用することはAppleにとっても予想外の出来事たった模様。

実際、バッテリー交換の値引きが発表された直後、申し込みが急増し過ぎてバッテリー交換に大幅な遅延が発生していることも報じられていました。

1台当たりのバッテリー交換費用が税別3200円になっていたとはいえ、1100万台ものiPhoneがバッテリーを交換したとなると、単純計算で約350億円もの売上が生まれたこととなります。しかし、Appleの決算報告書にはバッテリー交換に関する数字が含まれていなかったそうで、その理由についてDaring Fireballは、「iPhone XRやXSが登場するまでは、バッテリー交換プログラムが新しいiPhoneの売上高にどのように影響するかはっきりしなかったからだと推測できます。今年は新しいiPhoneに替えようと考えていた数百万人のiPhoneユーザーが、バッテリー交換を行い古いiPhoneの性能に満足したことで、最終的にバッテリー交換により多くの利益が生まれたわけです」と推測しています。

バッテリー交換費用の値下げが発表された当初、多くの識者はAppleの対応を非難し、被害を受けたiPhoneユーザーにはまったくメリットがないと考えていました。しかし、実際には何百万人ものユーザーがバッテリー交換プログラムを利用しています。

バッテリー交換費用の値下げが2018年に登場した新型iPhoneの売上に影響を与えたかどうかは不明ですが、iDownloadBlogは「私の周りには少なくとも10人ほど、バッテリー交換費用の値下げがなければ新しいiPhoneに乗り換えていたであろうユーザーがいる」と記しています。
2019年01月16日 09時54分
https://gigazine.net/news/20190116-apple-11-million-iphone-batteries/