NECは27日、デンマークのIT(情報技術)最大手であるKMDホールディングを買収すると発表した。80億デンマーククローネ(約1360億円)を投じ、米系ファンドから2019年2月末に買収を完了する。KMDは政府・官公庁向けのITサービスに強い。各国政府がデジタル化を進めており、NECはノウハウや顧客基盤を取り込む。

2月末に発行済み株式全てを取得する。NECとしては過去2番目の大型買収。KMDの17年12月期の連結売上高は約960億円で、営業損失は9億円の赤字だった。

デンマークは政府のデジタル化が最も進んだ国の一つとされる。KMDは同国の中央・地方政府に強い顧客基盤を持つ。行政機関のコスト削減に向け、世界でデジタル化が進むとみられ、NECは自社の生体認証技術などと組み合わせて需要を開拓する。

NECはかねて海外企業のM&A(合併・買収)に2000億円を投じる方針を打ち出していた。18年1月にも710億円で英中堅IT会社の買収を発表していた。

事業構造改革の遅れでNECは業績が低迷しており、リストラを進めてきた。11月末までに実施した希望退職では、2170人が応募。事業売却も含めて来春までに3000人がグループを去る見通し。人員削減にメドをつけたことで、買収による攻勢に転じる。
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