2018年11月27日 13:26 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38219030X21C18A1XQH000/

全日本空輸は27日、成田―ホノルル路線に新たに導入する世界最大の旅客機A380の運航を2019年5月24日に始めると発表した。同機は欧州エアバス製。機内食などのサービスも強化。歴史的にハワイ路線に強みを持つライバルの日本航空との競争が激しくなりそうだ。

当面は1機のみで運航するため週3便でA380を投入。2機めが導入される7月からは毎日運航する。総座席数は520。ホノルル路線に初導入するファーストクラスはドアを装備した個室型シート。エコノミーの一部ではフットレストを持ち上げてベッドのように横たわることができるカウチシートが設けられる。

全日空は超大型機の導入に合わせハワイ路線のサービス全般を強化する。これまでエコノミークラスと同じ食事を提供してきたプレミアムエコノミーでは、ホノルル線限定で専用機内食を出す。ファーストクラスとビジネスクラスでは寝具を一新。ホノルル空港に専用ラウンジを新設し、上級クラスが設けられるA380の2階部分に直接搭乗できるようにする。

A380は総2階建ての超大型機で、05年に初飛行した。「空飛ぶホテル」の異名を持ち、ゆとりのある機体サイズを生かして豪華な設備を取り入れたり、座席数を多く設定できたりすることが特徴だ。全日空は3機を導入予定で、ウミガメをモチーフにした特別塗装でハワイ専用の機材にする。平子裕志社長は27日の記者会見で「全日空の新しいハワイに期待してほしい」と力を込めた。

全日空が日本人にとって代表的なリゾートと言えるハワイ路線で意識するのはライバルの日本航空だ。座席数シェアで日本―ハワイ路線のおよそ3分の1を握る日航に対し、全日空は15%程度。A380を3機導入することで座席数シェアを約25%まで高める。

一方の日航はもともと全日空と提携関係にあった米航空大手のハワイアン航空と提携。共同運航に加えて運航ダイヤや運賃を調整できる共同事業を始める。両社は首都圏だけでなく関西や中部などとハワイも結ぶほか、ハワイアンはハワイ諸島間のフライトも充実しており共同事業で乗り継ぎの利便性を高める。

超大型機の導入でサービス全般を強化する全日空と、ハワイアン航空との提携で利便性を高める日航。国内で競争する日本の二大航空会社が、伝統のリゾート路線でも激しい火花を散らし始めている。(福冨隼太郎)