【NQNニューヨーク=横内理恵】29日の米株式相場は大幅続落した。ダウ工業株30種平均は前週末比245ドル39セント(1.0%)安の2万4442ドル92セントと、7月上旬以来の安値で終えた。米中貿易摩擦への警戒感が再燃し、相場の重荷となった。前週発表の四半期決算が失望を誘ったアマゾン・ドット・コムなどを筆頭にIT(情報技術)株への売りも続いた。

ブルームバーグ通信が29日、11月に予定される米中首脳会談で貿易交渉が進まない場合、トランプ米政権が中国からの残りの全輸入品に追加関税を発動する方針だと報じた。中国売上高が大きく、貿易摩擦の影響を受けやすいとされる航空機のボーイングや建機のキャタピラーなどが売られた。

ボーイングはインドネシアで墜落した旅客機が同社製だったことも売り材料になった。6%あまり下げてダウ平均を約160ドル押し下げた。

景気減速懸念から同日の中国・上海総合指数が下落した。ドイツのメルケル首相が、与党キリスト教民主同盟(CDU)の党首を退任する考えを表明し、世界景気や欧州政治に対する不透明感も売りを誘った。

前週に大きく下げた反動から買いが先行し、ダウ平均は午前に352ドル高まで上げる場面があった。貿易摩擦への懸念から相場が午後に下げに転じると、コンピューター取引による機械的な売りが加速し一時566ドル安まで下げた。日中の高値と安値の差は918ドルと荒い値動きが続いた。

朝方に発表された9月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.4%増と堅調な伸びが続いた。米連邦準備理事会(FRB)が重視する物価指数であるPCEデフレーターも落ち着いており、足元の米景気の良好さを示す内容だった。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も大幅続落。同116.921ポイント(1.6%)安の7050.292と4月以来、約半年ぶりの安値を付けた。取引時間中には7000を下回る場面もあった。

2018/10/30 5:39
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASB7IAA05_Q8A031C1000000/