2018年9月10日 18:00 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO35173030Q8A910C1EE8000

【北京=石橋茉莉】経団連や日本商工会議所など経済界の訪中団は10日、北京で商務部幹部と面会し、新興国開発での連携加速などについて協議した。中国側は日本の技術力を生かした省エネルギー型のインフラ展開などを期待。一方で日本は相手国の返済能力を考慮せずに融資しすぎるといった中国の姿勢を指摘し、改善を求めた。

新興国での開発をめぐる日中間の協力について、資金面の支援や技術協力などで連携を進める方策などを議論した。

中国は広域経済圏構想「一帯一路」を掲げ新興国のインフラ開発を支援するが、新興国が返済できないほどの資金融資などが問題視されている。訪中団の団長を務める宗岡正二・新日鉄住金会長は商務部幹部に「官民による取り組みが進みつつあるが、コンプライアンスや財政の健全性、開放性などを充足することが前提だ」と話した。

米中貿易摩擦が激化するなか、アジア地域での自由貿易の推進も話し合った。日本商工会議所の三村明夫会頭は現在交渉中の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の早期妥結が必要だと述べ「市場アクセスの改善や域内共通のルールづくりで地域全体として成長することが反グローバリズムに対抗する具体的な意思表示になる」と訴えた。

日本の経済界は日本企業が中国でビジネスを展開するうえで障害となっている制度の改善を求める提言をした。知的財産権保護の徹底や外資に対する規制緩和などを求めた。