2018年8月16日 20:10 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO34230690W8A810C1EA1000?s=2

トルコリラの急落を受け、日本で販売されているトルコの債券や株式を組み入れた投資信託が大幅に値下がりしている。前年末比の下落率が5割を超えるケースもあり、トルコ関連投信全体では資産額が約2000億円目減りした。地理的には遠く離れたトルコ発のショックが、日本の個人投資家に打撃を与えている。

「トルコの通貨や債券の売買が困難で、必要な取引ができない」。大和証券投資信託委託や三菱UFJ国際投信は、リラ建て債券で運用する投信の購入と解約申し込みを一時停止した。リラ急落の影響でトルコの金融市場が混乱し、売買注文を出しても取引が成立しにくくなっているためだ。

大和投信が申し込みを停止した「トルコ・ボンド・オープン」は、13日の1日だけで基準価格が前営業日に比べて22%も下落。前年末比では53%安と半値以下になってしまっている。

日興リサーチセンターによるとトルコ株・債券などリラ建て資産を組み入れる投信は52本。軒並み大きく値下がりし、前年末に4146億円あった運用資産は、15日時点では2044億円まで減少している。トルコリラが前年末比で4割前後下落。トルコの株式相場も同約2割安となっているためだ。

トルコショックは資産運用のうえで悪いタイミングに重なった。トルコは8月21日から24日まで犠牲祭と呼ばれる休日に入り、金融市場も休場となる。このため、一部の投信は15日ごろから月末まで購入・解約の申し込みを受け付けていない。投資家は損失回避の売りなども出すことができないことがある。

トルコは政策金利が18%程度と高い。低金利による運用難に苦しむ日本の個人マネーを集めやすいとして、トルコ関連投信を運用会社が多数組成し、証券会社も積極的に販売してきた経緯がある。