財務省が16日発表した7月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を引いた貿易収支は2312億円の赤字だった。自動車や半導体関連、鉄鋼の対米輸出が振るわず、2カ月ぶりの赤字となった。資源価格の上昇で原油などの輸入額がかさ上げされたのも貿易赤字につながった。

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 輸出額は6兆7474億円。前年同月比で3.9%増え、20カ月連続で前年同月を上回った。中国向けが11.9%増の1兆3553億円。半導体などの製造装置や電子部品の輸出が伸び、全体の輸出額を押し上げた。タイ向けに鉄鋼の輸出も伸びた。

 一方、米国向けの輸出は1兆2506億円となり、5.2%減った。2016年11月以来、1年8カ月ぶりに2カ月連続のマイナスとなった。米国向け輸出は乗用車など自動車が12.1%減り、自動車部品も15.2%減った。半導体などの製造装置は50.1%減となり、原動機や電算機類なども軒並み前年同月を下回った。鉄鋼も12.0%減だった。

 財務省は16日、貿易量や金額は様々な要因が影響するとして、対米輸出減が保護貿易の影響かどうかを判断するのは「困難だ」との見解を示した。自動車は、前年同月に米国の景気拡大などから輸出が好調だった反動の可能性も指摘した。

 輸入額は6兆9786億円と14.6%増。7月はイラン産原油の供給減への懸念から原油価格が上昇し、原油の輸入額が40.3%増となった。韓国からのナフサなど石油製品も60.0%増だった。中国からは携帯電話の輸入も伸びた。欧州連合(EU)からの輸入額は過去最高。医薬品や自動車、航空機類の輸入が伸びた。

 7月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=110.78円と前年同月に比べて1.5%の円高・ドル安となった。

2018/8/16 11:02
日本経済新聞
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