縮小が続いていた国内のパソコン市場が変化してきている。企業の買い替えの時期にあたるほか、働き方改革で増える在宅勤務による新たな需要が後押しし、平成29年度の出荷台数は2年連続で前年実績を上回った。世界的にも復調の兆しが見える中、シャープは赤字の東芝のパソコン事業を買収。8年ぶりの再参入を果たすが、中国など新興勢力との競争は激しく、スマートフォンのさらなる普及などで、もくろみ通りに進むかは不透明だ。(橋本亮)

 働き方改革が追い風

 IT専門調査会社のMM総研(東京)によると、29年度の国内パソコン出荷台数は前年度比2.2%増の1033万9千台だった。

 米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」のサポートが32年1月に終了するのを控えた企業の買い替えや、パソコンを使って自宅などで働く「テレワーク」の推進といった働き方改革に伴う需要が追い風となっている。MM総研はパソコン需要の拡大が続き、30年度の出荷台数は29年度比6%増の1096万台になると見込む。

 実際、市場は“特需”に沸いている。パナソニックが展開するノートパソコン「レッツノート」の29年度の販売台数は法人向けが好調に推移したことから、前年度比約30%増の約42万台と、過去最高を記録した。

 6月には高速処理が可能なシステムを搭載しながら約1.25キロと軽量化を実現し、在宅勤務や移動中の作業に活用できるようにした新商品を発売。2月からはパソコンの使用時間などを可視化するサービスを始めており、「企業の働き方改革を後押しし、法人向け需要を取り込む」(パナソニック担当者)戦略を描く。
https://www.sankeibiz.jp/business/news/180809/bsb1808090630001-n1.htm