→三菱商は商社初の2000億円突破、住友商も同期としては過去最高
→米中貿易摩擦悪化がもたらす世界景気や商品市況への影響には警戒

総合商社5社の2018年4−6月期決算が3日、出そろった。三菱商事と丸紅の純利益が四半期ベースで最高益を更新。住友商事は4−6月期としての最高益となったほか、三井物産と伊藤忠商事も非資源分野の利益を伸ばしてそれぞれ増益だった。総じて市場予想を上回る好調な出だしとなった。

  三菱商の純利益は前年同期比74%増の2044億円と大幅に伸びた。総合商社業界で初めて四半期ベースで2000億円を突破した。昨年、ハリケーンの影響で落ち込んだオーストラリアの原料炭事業の出荷量が回復したほか、液化天然ガス(LNG)事業からの受取配当金が増加。アジアでの自動車販売事業も好調だったことに加え、3月に持ち分法対象とした三菱自動車からの利益も貢献した。

  丸紅は米国での肥料販売会社が好調だったほか、国内発電事業での売却益を計上した電力部門の利益も拡大した。住友商は市況上昇で北米の鋼管事業の利益が拡大し、インフラやメディア事業の利益も伸びた。

  野村証券の成田康浩シニアアナリストは「原油や石炭などの商品市況の上昇効果が出たことに加えて、メタノールやパルプ市況が高く推移するなど非資源分野でも好調な世界景気の恩恵を受けた」と指摘。利益水準は総じて「想定を上回った」と評価した。一方、米中貿易摩擦の悪化によって中国景気が減速すれば、商品市況の下落につながりかねない点は懸念要因と述べた。

■今期見通しは据え置き
  今期(19年3月期)の業績見通しは全5社が据え置いた。三井物を除いた4社が最高益更新を見込んでいる。米中貿易摩擦による直接的な影響は現時点では限定的だが、先行きには慎重な見方が相次いだ。

  三菱商の増一行・最高財務責任者(CFO)は「米中貿易摩擦が世界景気全体に影響を及ぼす事態になれば、業績下押し要因になる」と警戒。三井物の内田貴和CFOも「景況感の悪化や消費の減退等によるマクロ経済の減速には注意が必要」と指摘した。

  トランプ米大統領は自動車や自動車部品の輸入に対する追加関税の導入についても検討している。住友商の高畑恒一CFOは「自動車や自動車部品の事業には力を入れており、影響は懸念される」と述べた。

【総合商社5社の業績一覧】 

会社名 18年4−6月 19年3月期 進ちょく率
三菱商 2,044(74%) 6,000(7.1%) 34%
三井物 1,184(6.9%) 4,200(0.4%) 28%
伊藤忠 1,134(4.8%) 4,500(12%) 25%
住友商  914(17%) 3,200(3.7%) 29%
丸紅  868(62%) 2,300(8.9%) 38%
(注:単位は億円、カッコ内は前年同期比%、全社国際会計基準)

Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-08-03/PCVDTR6KLVR601