2018年7月28日 12:30 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO33539520Y8A720C1NNE000

【ニューヨーク=中山修志】米石油メジャーの業績が失速している。エクソンモービルとシェブロンが27日発表した2018年4〜6月期決算は純利益が前年同期より増えたものの、1〜3月期に比べると減少した。原油価格は上昇傾向にあるが、生産の伸び悩みにより売上高、純利益ともに市場予想を下回った。

エクソンの売上高は前年同期比27%増の735億ドル(約8兆1500億円)、純利益は同18%増の39億ドル(約4300億円)だった。

ただ純利益は1〜3月に比べると15%減少し、市場予想を3割近く下回った。フランスやサウジアラビアの油田で補修作業が続いたため4〜6月の生産は原油換算で日量360万バレルとほぼ10年ぶりの低水準となった。原油価格は1年前に比べ約50%上昇したが業績に生かし切れなかった。

ニール・チャップマン上級副社長は同日の電話会見で「今後も大規模な補修作業が続く。我々はボリュームに焦点を当てていない」と述べた。2月の地震でパプアニューギニアの液化天然ガス(LNG)生産が一時停止したことも踏まえ、年間の生産見通しについて日量400万バレルから380万バレルに引き下げた。

シェブロンの売上高は23%増の404億ドル、純利益は2.4倍の34億ドルだった。利益は前年同期を大幅に上回ったが、1〜3月期からは6%減少した。精製などの川下部門の不振が響き、39億ドル強を見込んだ市場予測を大きく下回った。

同社は6月までに米カリフォルニア州などの生産部門の売却を完了、7月には欧州・北海の生産設備の売却も決めた。マイケル・ワース最高経営責任者(CEO)は「生産体制の最適化と支出の抑制によってキャッシュフローは改善している」とコメントした。

14年以降の原油価格の急落で業績が落ち込んだ経験から、米メジャーは新規の開発投資を絞って川下部門を強化してきた。原油相場は17年秋から上昇に転じたものの、エクソンなどは思い切った生産拡大に踏み切れていない。豪英資源大手BHPビリトンも業績の低迷を受けて売却先を探していた米シェール事業を、このほど英BPに売却することで合意した。