トランプ米大統領の娘イバンカ・トランプさんが2007年に創業したファッション・ブランド企業が廃業する。24日、同社で勤務する18人の従業員に対して解雇を申し渡した。企業側は「本人が政界での仕事に専念するため」と説明するが、業界関係者からは「販路がしぼみ、販売が落ち込んでいた」との声も出ている。

同社は「イバンカ・トランプ」のブランド名で、アクセサリー、衣料品、靴、ハンドバッグなどを百貨店や専門店を通じて販売していた。

2016年の大統領選で父親のトランプ氏が当選すると、イバンカさんはホワイトハウス入りに伴って同社の社長職を退いた。だが、トランプ氏への反発から一部消費者から不買運動が起こり、米百貨店ノードストロームが17年2月に取引を停止。これにトランプ氏が「うちの娘は素晴らしい人間なのにノードストロームは不当な扱いをした」とツイッターで批判し、話題となった。

米国ではその後も販売停止の動きが広がり、売り上げが落ち込んだとみられる。今年7月にはカナダの大手百貨店ハドソン・ベイも取引停止を決めた。販売を続けている店でも大幅に値下げされるケースが増えていた。

イバンカさん本人は「今後このビジネスに戻るかは不明」としている。

[ニューヨーク=河内真帆]

2018年7月25日 5:18 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO33372080V20C18A7000000?s=2