防災科学技術研究所や日本気象協会などは23日、30分後のゲリラ豪雨を地上から予測する新型気象レーダーが稼働したと発表した。10月末までの実証実験で関東地方の約2千人のスマートフォン(スマホ)などに豪雨の予測情報をメールで配信し、雨が降る前に回避行動に移せたかどうかを検証する。2020年の東京五輪・パラリンピックなどでもレーダーの活用を目指す。

新型レーダーは情報通信研究機構などのチームが開発し、埼玉大学(さいたま市)のキャンパスに設置した。10以上の方向に同時に電波を発信することで、上空にある半径50キロメートル圏内の水滴を捉え、雲の形や雨量を高い精度で測定する。

従来の気象レーダーで雨雲などの観測に5分以上かかっていたが、新型は30秒に短縮した。これまでアンテナが何度も回転して上下動を繰り返すことで情報を集めていたのに対し、新型レーダーではアンテナが一回りするだけで済むという。

実証実験では、ゲリラ豪雨の予想情報をモニター参加として参加する2千人にメール送信する。30分先を予測できれば浸水の恐れがある地下街や川の付近から避難できる。情報提供がどれほど役に立ったかを検証して技術の改善に生かす。東京五輪の競技運営の際にも観客の誘導などで活用したい考えだ。

ゲリラ豪雨は狭い範囲で急に雨が強く降る気象現象。気象庁によると、1時間に50ミリ以上の雨が年間に発生する回数は、1970〜80年代の平均と比べてここ10年間で約1.4倍に増えた。

2018年7月23日 15:18 日本経済新聞
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