【シリコンバレー=白石武志】米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は18日までに、タイの洞窟で遭難した少年サッカーチームを救った英国人ダイバーをツイッター上で「小児性愛者」と罵倒したことについて謝罪を表明した。同氏は救出作戦のために小型潜水艇の提供を申し出ていたが、ダイバーに「機能する可能性はまったくない」と一蹴されていた。

 ツイッター上に投稿したコメントの中で、マスク氏は親切心から小型潜水艇の提供を申し出たにも関わらず「自分の急所にでも突きたてておけばいい」とダイバーに挑発されたことに怒りを覚えたと経緯を説明した。ただ、「彼の私に対する言動は、私の言動を正当化するものではない」と述べ、不適切な発言だったと謝罪した。

 マスク氏はタイの洞窟事故の報道を受け、自ら設立した宇宙開発ベンチャー、米スペースXの技術者らに救出作戦への協力を指示。ツイッターを通じて様々な意見を募り、数日で救出用の1人乗り小型潜水艇のアイデアをまとめ上げ、プールでの実証実験の様子も公開していた。

 マスク氏の不適切な発言を受け、テスラ株は16日に前週末比3%近く下落した。日ごろは自動運転技術や電気自動車(EV)普及への懐疑論をものともしない打たれ強さで熱狂的なファンの支持を集めている同氏だが、今回はテクノロジーを信奉する独善的な姿勢が投資家らの不安心理まで呼び起こす結果になった。
2018/7/19 5:25
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33136720Z10C18A7000000/