【ワシントン=鳳山太成】米商務省は11日、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)への制裁見直しで最終合意したと発表した。将来、新たな法令違反があった場合に没収する4億ドル(約440億円)をZTEが納めた段階で米国企業との取引再開を認める。4月に取引禁止の制裁を科して以降、ZTEは主力製品の生産を止めるなど経営危機に陥っていた。

 商務省は6月7日、ZTEと制裁の見直しで基本合意した。ZTEが10億ドルの罰金を支払うほか、4億ドルを預託する。経営陣を刷新したり法令順守の責任者を置いたりすることを条件に、米国企業との取引を再開できるようにする内容だった。

 商務省は4月、ZTEがイランや北朝鮮に米国製品を違法に輸出したことに加え、米政府に虚偽を説明をしたとして米国企業との取引を7年間禁じる制裁を科した。トランプ大統領が5月中旬、「習近平(シー・ジンピン)国家主席から頼まれた」として制裁の見直しを表明。米中の貿易協議で中国側から譲歩を引き出す交渉材料とする構えをみせていた。

 ZTEは制裁により、米クアルコムの半導体など基幹部品を調達できなくなり、スマートフォン(スマホ)などの生産停止に追い込まれた。預託金を納めた上で米国企業との取引禁止が解ければ事業を再開できる。ただイメージダウンや罰金支払いで株価は下落し、経営は厳しい状態にある。

 安全保障上の観点からZTEに対する制裁の緩和には米議会から強い反発の声が上がる。上院は制裁復活させる法案を可決している。
2018/7/12 5:04
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32899170S8A710C1000000/