・収益額10兆810億円、1−3月期はマイナス5兆5408億円
・自主運用を始めた01年度からの累積収益は63兆4413億円

世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2017年度に、
収益率と収益額がともに3年ぶりの高さとなった。国内外の株高やユーロに対する円安基調が背景。

  GPIFが6日公表した昨年度の業務概況書によると、収益率は6.90%、収益額は10兆810億円と、
いずれも14年度に記録した過去最高の12.27%、15兆2922億円以来の好成績となった。
資産別では国内株式が15.66%、外国株式は10.15%と2年連続のプラス。外国債券は3.71%と3年ぶり、
国内債券は0.80%と2年ぶりに運用益を上げた。主要4資産がそろってプラスとなったのは14年度以来だ。

  運用資産額は3月末に156兆3832億円。四半期ベースで最高を記録した昨年末からは目減りしたが、
年度末としては過去最高を更新。前身の年金資金運用基金として
自主運用を始めた01年度からの累積収益は63兆4413億円に膨らんだ。
名目賃金上昇率を差し引いた運用利回りはこの17年間に年率3.01%。
公的年金制度の一翼を担うGPIFに求められる同0.14%を大幅に上回った。

  GPIFの高橋則広理事長は資料に掲載したあいさつ文で、17年度の運用結果には国内外の株価上昇などが寄与したと指摘。
「総じて良好な経済環境や堅調な企業業績に加え、
フランス大統領選後の欧州政治情勢の落ち着きや米税制改革法案成立による米景気の押し上げ期待が支えとなり、
国内外の株式市場が大幅に上昇したが、
年度末にかけては米国の通商政策を巡る不透明感から株価が上昇幅を縮小させるとともに、
外国為替市場では特に対ドルで円高が進行した」と説明した。

  公的年金制度は高齢化で膨張する給付額を現役世代からの保険料や税金だけでは賄い切れず、
その1割前後をGPIFからの拠出に依存。第2次安倍晋三内閣の意向を受けたGPIFは14年10月、
資産構成の目標値を国内債6割からリスク性資産がほぼ3分の2を占める収益追求型に変更した。
国内債は日本銀行による金融緩和を背景に目標値を大幅に下回る一方、他の3資産は目標値に近い水準にある。

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Bloomberg
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