国土交通省の国土技術政策総合研究所(国総研)や自動車メーカーなどは、高速道路のインターチェンジで自動運転車両が安全に合流できるよう、本線の交通情報を合流前の車両に伝えるシステムを開発する。高速道路での自動走行の実現に向けて、見通しの悪い合流部はボトルネックの一つ。官民合同で課題の解決を図る。

自動運転では白線や標識を認識するカメラ、周囲の他の車両など障害物の位置を検出するレーザーなどのセンサーを使って運転する。

しかし、首都高速や阪神高速など都市部の高速道路の合流地点はコンクリート壁に遮られていたり、急カーブになっていたりすることも多く、本線の様子をセンサーで把握することが難しい。

このため、国総研が主体となり、道路から車両に交通情報を提供する仕組みの共同研究を開始。本線を走る車両の交通量や速度を道路に設置する感知器を使って把握し、合流部手前に設けるアンテナを使って車両に提供することで、本線への進入速度やタイミングを自動で調整できるようにすることを目指している。

研究は、公募に応じたトヨタや日産などの大手自動車メーカー4社と電機メーカー13社、地図会社、高速道路会社6社、日本道路交通情報センターなどと共同で実施。感知器のタイプや情報提供の位置、車両に伝える内容を検討する。

自動運転車両だけでなく一般車両にも情報を提供し、安全な合流のために活用できるようにする計画。今年度以降、国総研のテストコースで実験し、実用化に向けて20年3月までに技術的なめどをつけることを目指す。

高速道路の渋滞や故障車などの情報を知らせる次世代型の「自動料金収受システム(ETC)2.0」の普及をすでに進めており、国総研高度道路交通システム研究室は「既存の技術を生かしていきたい」としている。

政府は20年をめどに、アクセルやブレーキ、ハンドルの操作を自動運転システムが行い、緊急時に自動運転システムの要請でドライバーが対応する「レベル3」の導入を高速道路で実現することを目標に掲げている。
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2018/6/18 2:17
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