東日本大震災以降、運転を停止している福島第二原子力発電所について、東京電力の小早川社長は、14日、福島県の内堀知事に廃炉の方向で検討することを明らかにしました。震災の前、10基あった福島県内の原発は、すべて廃炉となる見通しになりました。

7年前に事故を起こした福島第一原発からおよそ12キロ南にある福島第二原発は、震災以降、4基すべての運転が停止されたままとなっています。

これについて、東京電力の小早川智明社長は14日、福島県庁を訪れ、内堀知事に「福島の風評や住民の帰還が進まない状況を踏まえると、このままあいまいな状態を続けることが復興の足かせになるのではないかと思った。当社としては、第二原発のすべての号機を廃炉の方向で具体的な検討に入って参りたい」と述べ、廃炉の方向で検討することを明らかにしました。

福島第二原発をめぐっては、福島県議会が廃炉を求める請願を採択していたのをはじめ、立地自治体の富岡町と楢葉町の議会が廃炉を求める意見書を採択し、内堀知事も再三、早期に廃炉にするよう政府と東京電力に求めていました。

しかし、東京電力はこれまで、国のエネルギー政策など、事業環境を取り巻く状況を総合的に判断するなどとして、廃炉について明言を避けてきました。

これにより震災の前、10基あった福島県内の原発は、すべて廃炉となる見通しになりました。

東電社長「具体的な検討はこれから」
会談のあと、東京電力の小早川智明社長は「知事や県議会などから再三、要請を受けるなか、これ以上、あいまいな状態では復興の足かせになると考え、きょう、検討に入ることを表明した」と述べました。

また、廃炉に向けた具体的なスケジュールについて小早川社長は「今回は大きな方向性を表明したもので、具体的な検討はこれから進めていく。福島第一原発の廃炉を含めて作業の工程をどう作るか地元のサポートも得ながら検討していく」と述べました。
福島知事「重要で大切なスタート」
福島県の内堀知事は記者会見を行い、「重く受け止めている。今回の明確な方向性の表明は、県内にある原発の全基廃炉に向けて重要で大切なスタートになると考えている」と述べました。

そのうえで、「東京電力からは、諸課題を解決しながら正式な廃炉の判断をするという話もあった。諸課題が何を示し、どのようなスケジュール感なのかも含め、東京電力や国にしっかり確認していきたい。社長の言葉の中で、私が重く受け止めているのは、『これ以上あいまいにしておくべきではない』という言葉だ。この言葉のもとで、しっかりと第二原発の廃炉に取り組んでいただけるものと確信している」と述べ、県として、東京電力や国の対応を注視していく考えを示しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180614/k10011477391000.html