武田薬品工業は6日、ベルギーの創薬ベンチャー、タイジェニックスの株式の約90%を取得し、買収のめどがついたと発表した。同社を総額約5億2千万ユーロ(約700億円)で買収する方針を1月に公表し、4月から5月末にかけて株式公開買い付け(TOB)を実施していた。同社は腸の難病のクローン病に伴う痔(じ)の新薬候補を保有しており、買収により消化器系疾患分野の強化につなげる。

 タイジェニックスはこの新薬候補を米国で独占的に開発・販売する権利を持っている。武田はこの新薬候補を米国外で開発・販売できる契約をタイジェニックスと2016年に結んでいるが、買収によって世界最大の米国市場でも開発・販売ができるようになる。

 武田は同社を完全子会社化する方針。6日から7月3日にかけて2回目のTOBを実施し、残りの株式の取得を目指す。

 武田は5月、アイルランドの製薬大手シャイアーを約6・8兆円で買収すると発表。日本企業で過去最大規模となるM&A(企業合併・買収)を決断し、合意にこぎつけたばかりだが、有力な新薬候補を持つ新興のベンチャー企業も傘下に収め、将来の収益源となる新薬候補を手中に収める。
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