外食チェーンで相次ぐ全面禁煙の動きが、ついに居酒屋にも広がります。全国展開する居酒屋チェーンが、1日から禁煙に踏み切りました。

全国で192店舗を展開する居酒屋チェーンの「串カツ田中」は、1日から全体の9割に当たる176店舗で客席を禁煙にしました。喫煙専用のスペースを設置するのも一部の店舗だけで、ほぼ全面的な禁煙となります。

このうち、東京 渋谷区の店舗では、午後5時の開店を前に禁煙を知らせるポスターが貼り出され、テーブルから灰皿が片づけられました。

この会社では、客からの要望に加え従業員の受動喫煙への対策に取り組む必要があるとして禁煙化を決めたということで、子ども向けのメニューを充実させるなどして新たにファミリー層を取り込みたいとしています。

2年後の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて受動喫煙対策を強化するため、一定規模以上の飲食店を原則、禁煙にするなどの法案が今の国会に提出されています。こうした中で外食大手の間では禁煙化の動きが出ていますが、たばこを吸う人も多い居酒屋で、全面的な禁煙に踏み切るのは珍しいということです。

長期的にはプラスに
串カツ田中の広報担当の永瀬もなみさんは、「短期的には客離れにつながる不安もあるが、家族連れも入りやすい店を目指しているので、長期的にはプラスになると考えている」と話しています。
客の反応
全面的な禁煙となった初日に早速店を訪れた子ども連れの40代の女性客は、「たばこの煙を子どもに吸わせたくないので、禁煙化で安心して過ごせるようになり、うれしい」と話していました。

たばこを吸わない友人と一緒に店を訪れた喫煙者の30代の男性は、「居酒屋でたばこが吸えないのは残念ですが、しかたがない。周りでもたばこを吸う人は減っているので、時代の流れだと思う」と話していました。
外食チェーン 禁煙化の動き加速
外食業界では、ファストフードやファミリーレストランを中心に店舗を禁煙にする動きが一段と加速しています。

このうち、ファストフードでは、マクドナルドがすべての店舗をすでに禁煙にしたほか、ケンタッキーフライドチキンもすべての直営店を禁煙にしていて、フランチャイズの店舗も今後、禁煙化を進めます。モスバーガーも再来年3月末までにすべての店舗を禁煙にする方針です。

ファミリーレストランでは、ロイヤルホストがすべての店舗の客席を禁煙にしたほか、サイゼリヤが来年9月ごろまでに、ココスも来年9月末までにすべての店舗の客席を禁煙にする方針です。

ただ、いずれのチェーンも一部の店舗に喫煙専用のスペースを設けています。

一方、お酒を飲みながらたばこを吸う人が多い居酒屋チェーンについては、一部で客席を禁煙とする実験店を設ける動きがあるものの、客離れのおそれがあるとして禁煙化に対して慎重な姿勢です。

受動喫煙の対策を強化するために、今の国会に提出されている健康増進法の改正案では、煙が外に漏れない喫煙専用スペースを設置すれば、店内の喫煙も認められます。ただ、店舗改装の費用が必要になることから、多くのチェーンが今後、法案の審議を見守りながら対応を検討していくとしています。
6月1日 20時23分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180601/k10011461841000.html