米グーグルが今秋の発表を予定しているアンドロイド搭載スマートフォン「Pixel(ピクセル)」の新型モデル生産に向け、電子機器の受託生産最大手、台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)と協議を始めたことが関係者の話で分かった。グーグルは機器事業を強化しており、中でもスマホは高い評価を受けているものの、販売や市場シェアで米アップルや韓国のサムスン電子に大きく水をあけられている。生産体制を整えて売り上げをてこ入れし、ライバルに挑む構えだ。

シェアで大きな後れ

グーグルがアップルの「iPhone(アイフォーン)」の組み立てを行う鴻海精密工業との間でスマホの委託生産をめぐる協議をするのは初めて。グーグルは今年1月、同社と台湾の宏達国際電子(HTC)が共同開発したスマホ開発チームを買収し、新型端末のハードウエア、ソフトウエア開発の要員を確保していた。

ピクセルは最高クラスのアンドロイド端末として高い評価を受けているが、アイフォーンやサムスン製品に販売や市場シェアで大きな後れをとったままだ。米調査会社IDCによると2017年のピクセルの出荷台数は400万台弱だったのに対し、アイフォーンは2億1600万台だった。

グーグルは、人工知能(AI)による応答機能などを搭載したスピーカーやスマホなど機器事業に力を入れている。新たなハードウエアの発表を計画する一方で、来年の発表を目指してAIを搭載した基本ソフト(OS)「アンドロイド」のアップグレード版開発に取り組んでいる。

グーグルは新型ピクセルの発表を例年通り10月に予定している。アップルが通常、新型モデルを発表する約1カ月後になる。グーグルは長期的にハードウエア部門が重要になると認識しており、ピクセルの新モデルを毎年発表し続ける意向だ。

ほぼ縁なしの大画面

発表予定の2モデルの名称は「ピクセル3」と「ピクセル3XL」になる見通し。大型の主力製品は、画面の枠であるベゼルを本体下部のみとし、前面にほぼ縁なしの広い画面を搭載する。

グーグルは将来的にはピクセルのベゼルを完全になくすことを目指しているが、今秋発表予定のモデルはスマホ前面にステレオスピーカーを配するため太いベゼルを残している。また、画面上部に「ノッチ」と呼ばれる切り欠きスペースを設け、2つの前面カメラを配置する予定という。

現行の「ピクセル2」は「アイフォーン8」を50ドル(約5400円)下回るが、大型の「ピクセル 2XL」はエントリーモデルの「アイフォーン 8プラス」を50ドル上回る。

ブルームバーグ・ニュースはアップルが新モデルを年内に発売すると伝えている。新モデルは(1)過去最大サイズのアイフォーン(2)現行の「X(テン)」と同サイズで機能を改良したモデル(3)「X」の主要機能を一部備えた廉価版−の3種類になるとみられている。(ブルームバーグ Mark Gurman)
2018.6.1 06:14
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180601/mcb1806010500013-n1.htm