29日の東京株式市場で日経平均株価は3営業日ぶりに反落した。終値は前日比122円66銭(0.55%)安の2万2358円43銭だった。イタリアやスペインなど南欧の政治リスクが意識され、投資家のリスク運用を取る姿勢が後退した。短期や中長期視点で運用する海外投資家が株価指数先物に売りを出した。対ドルや対ユーロで円高が進行するなか、輸出採算が悪化するとの懸念も相場全体の重荷だった。

 欧州政治の先行き不透明感から、外国為替市場ではユーロ安が進行。一時1ユーロ=126円台半ばと約11カ月ぶりの円高・ユーロ安水準を付けた。欧州の売上高比率が高いミネベアやリコーなどの欧州関連銘柄には採算悪化を懸念した売りが膨らんだ。投資家心理が弱気に傾くなか、株価指数先物に損失を回避する目的の売りが出た。値がさ株を中心に先物と裁定取引を解消する売りが優勢になり、日経平均の下げ幅は200円を超える場面があった。

 東証株価指数(TOPIX)は7日続落し、8.57ポイント(0.48%)安の1761.85で終えた。7営業日連続で下落したのは2016年9月以来、1年8カ月ぶり。JPX日経インデックス400は反落した。終値は68.34ポイント(0.44%)安の1万5593.88だった。

 東証1部の売買代金は概算で2兆354億円。売買高は13億1193万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1499と、全体の約72%を占めた。値上がりは507、変わらずは71銘柄だった。

 ソフトバンクや信越化の下げが目立った。板硝子や宇部興の下落率が大きかった。米アップルがiPhoneの新型モデルに有機ELを全面採用すると伝わり、Jディスプレが下げた。一方、ユニファミマや花王、大塚HDは上昇した。18年12月期の業績予想を上方修正した東海カが大幅高だった。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

2018/5/29 15:30
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASS0ISS16_Z20C18A5000000/