イカやサケ、サンマなどの不漁が目立つ中、日本で最も漁獲が多いサバとイワシの消費を高めようという動きが目立ってきた。生産量が多い半面、両魚種とも人気はいまひとつ。国内での有効利用が求められている。

 農林水産省が4月下旬にまとめた2017年の漁業生産統計によると、国内の総水揚げ量は430万トン。このうちサバとイワシは、ともにおよそ51万トンでトップ。3位のホタテガイ(約24万トン)を大きく引き離している。

 長年大手スーパーの鮮魚売り場を担当してきた水産アドバイザーによると「30〜40年前、サバ、イワシなどは売れ筋の魚種だった」という。ところが、調理が難しいことなどから「今では1匹丸ごと店に並べても、なかなか売れない」と嘆く。

 総務省の家計調査年報によれば、17年の1人当たりの消費量は10年前に比べ、サバが4割、イワシは2割ともに減少。サバの消費量はイワシよりやや多いものの「ノルウェー産のサバが人気」と東京・築地市場(中央区)の卸。国産のサバはアフリカなどへの輸出が増えているという。

 国産の消費が振るわないサバとイワシをもっと食べてもらおうと、最近、各地で新たな加工品がお目見えしている。静岡県焼津市の水産加工会社、岩清は4月から、地元で水揚げされるサバを使い、ワインやパンに合う商品を開発した。

 ドライフルーツのほか、ハーブなどのスパイスを使用し「サバビアン」と名付けた洋風の商品シリーズで、店頭販売のほか東京や大阪、名古屋など、大都市への出荷も予定しているという。同社は「サバが苦手という女性にぜひ食べてほしい」とPRする。

 イワシの水揚げが増えてきた北海道の釧路市では、地元の漁協が不漁のサンマに替わる水産加工品として、今春からイワシの「菜の花漬け」を発売。菜の花やニンジン、コンブなどとともに酢漬けにした商品は、程よい甘みがあって好評だ。

 北海道ではイワシのほかサバの漁獲も伸びてきたため、道が2魚種の利用拡大へ向けた事業を今年度から開始。漁獲から流通までの実態を把握した上で、豊富な資源をうまく活用するよう、新たな水産加工品作りなども模索していくという。

(スレ立て依頼から)
(2018/05/26-07:52)
時事ドットコム
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