中国のネット通販最大手「阿里巴巴(アリババ)グループ」が、日本企業のてがける食品や化粧品などを中国市場に売り込んでいる。出品を、大企業だけでなく中小企業にも呼びかけている。

「6億を超える人が毎月利用し、2017年4月からの1年間の流通総額は7680億ドル(約85兆円)になった」

アリババは22日、事業説明会を東京都で開催。ダニエル・チャン最高経営責任者(CEO)が、日本の食品メーカーや化粧品メーカーの担当者ら約300人を前にそう語った。

中国政府は22年までに自国の輸入総額を8兆ドルまで増やす方針だ、とチャン氏は強調。「日本で急増している中国人観光客の消費も加われば、中国人の消費はさらに拡大する」と述べた。中国市場に直接アプローチすることが難しい中小企業でもアリババを使えば販路を中国に広げられる、と訴えた。

アリババに出品しているサントリーホールディングス(HD)、コーセー、アシックスの経営幹部らも登壇した。

サントリーHDの新浪剛史社長は、健康食品などを12年からアリババ内の通販サイト、天猫(Tモール)に出していることを紹介。「いまの中国事業は(年間で)数百億円規模だが、いずれ数千億円規模に成長させる」と話した。

コーセーの幹部は、主力化粧品「雪肌精(せっきせい)」などの人気ぶりに言及。「アリババを通じた(当社の)売り上げは11年からの6年間で10倍に伸びた」と述べた。

アリババは1999年、英語教師だった馬雲(ジャック・マー)氏らが創業。アジア最大級のIT企業に成長した。スマートフォンを使ったキャッシュレス決済「支付宝(アリペイ)」も展開しており、中国では数億人が使っている。(上地兼太郎)
2018年5月24日17時53分
https://www.asahi.com/articles/ASL5Q4FH8L5QULFA01G.html