楽天がアパレルEC(電子商取引)事業で伊藤忠商事と提携する方向で調整に入ったことが日経コンピュータの取材で2018年5月1日までに分かった。年内にも共同出資会社を設立し、衣料のECサイトを共同運営したり、物流を支援したりする。「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイの牙城を切り崩すことを狙う。

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 楽天はインターネット関連、伊藤忠はアパレル関連のノウハウを持つ。両者の強みを持ち寄ってアパレル関連のECサイトを運営する。伊藤忠が得意とする衣料品の商品企画や生産、物流を支援する構想もある。ECサイトには国内外の有力ブランドなどの参加を募る。

 伊藤忠は2018年8月ごろに約1200億円を投じてTOB(株式公開買い付け)を実施し、ユニー・ファミリーマートホールディングスを子会社にする方針を打ち出している。商品の受け取りなどで、ファミリーマートを中心とした伊藤忠グループのノウハウを活用する可能性がある。

 狙いはアパレルECで盤石の地位を築くスタートトゥデイに対抗することにある。スタートトゥデイの2018年3月期の連結売上高は前の期比28%増の984億円と、1000億円の大台が目前に迫る。本業のもうけを示す連結営業利益も同24%増の326億円だった。時価総額は百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングスの2倍以上だ。

 楽天は「楽天市場」におけるアパレルの取扱高は国内では屈指の規模だ。伊藤忠は素材の提案から商品企画、生産、物流まで一貫して支援できる体制を構築しており、「アパレル業界では多様な企業と取り引きがある」(業界関係者)。婦人服のレリアンや老舗ジーンズメーカーのエドウインを傘下に収めるなどアパレルの「川下」にも力を入れている。楽天と伊藤忠が組むことで、ゾゾタウンとは別の新たな経済圏を生み出す力を秘める。

 経済産業省によればアパレルEC関連の市場規模は1兆6000億円を超える。ECの巨人である米アマゾン・ドット・コムも注力する分野であり、2018年3月には都内にファッション専用スタジオを開設している。総面積は7500平方メートルと同社の世界中のスタジオの中で最大規模。商品画像や動画を年間100万点以上撮影・制作する計画だ。

 市場拡大を見込んで新規参入も相次ぐ。ストライプインターナショナルはソフトバンクと提携し、2018年2月にアパレルECサイトを新設した。楽天・伊藤忠連合の誕生によって関連市場が一段と勢い付きそうだ。

(スレ立て依頼から)
2018/05/01
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