「eコマース、ネット広告、モバイルペイメントでナンバー1を目指す」──ヤフーの川邊健太郎社長は4月27日、決算説明会でそう話した。ネットユーザーの購買行動サイクル上に多くのサービスを持つ自社の強みを生かし、サービス同士の連携を強めて成長を図る考えだ。

同日に発表した2017年4月〜2018年3月の連結業績は、売上高が8971億円(前年度比5.1%増)、営業利益が1858億円(同3.2%減)と増収減益。検索連動型広告を取り扱うメディア事業や、ショッピングなど主力のコマース事業が好調で増収につながった。一方で、注力するeコマースやビッグデータを活用する「データドリブン化」事業に合わせて560億円の投資を行ったことで、減益に落ち着いたという。

広告関連サービスを取り扱うメディア事業では、売り上げが同社で初めて3000億円を突破。「ヤフオク!」や「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!プレミアム」の会員向けサービスなどを扱うコマース事業も、Yahoo!ショッピングにおける広告売上収益の増加に加え、アスクルグループの売上収益増加などが増収に寄与したという。

ヤフー、2018年度以降の注力分野は「モバイルペイメント」
川邊社長は2018年度以降、中長期的に経営資源を投下する分野として「eコマース(電子商取引による物販)」「インターネット広告」「モバイルペイメント」を挙げた。eコマースでは、コマース事業好調の要因として前年から挙げているソフトバンクとの提携に加え、商品の品ぞろえ、UI・UXの改善、オフライン(店舗)との提携、決済に関する質の向上を目指すという。
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特に決済では「Yahoo!ウォレット」の利用者基盤を活用し、モバイルペイメントに注力する。4月に税金・公共料金のバーコード決済、6月には「Yahoo! JAPAN」アプリに表示したバーコードを提示する「みせる決済」、今秋には店舗側の表示するバーコードをアプリで読み取り、金額を入力して支払う「よみとる決済」の仕組みを提供する。

18年度は利用できる店舗拡大に注力し、オンラインとオフラインを合わせた決済サービスとして取扱高ナンバー1を目指す。モバイルペイメント事業には200億円を投じ、18年度は全体で1300〜1400億円の営業利益を見込む。

「(ユーザーの購買行動サイクルにおいて)ヤフーは全てのサービスを持っていることが強みだと考えている。それぞれの連携を強め、全体でさらなる成長を進めていきたい」(川邊社長)
2018年04月27日 22時08分
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