2020年東京五輪・パラリンピックに向け民間の警備員不足が懸念されることから、警察庁は19日、警備員の研修を見直す方針を決めた。採用後に義務付けられている原則30時間の研修時間を短縮する方向。

同庁の有識者検討会が報告書をまとめた。具体的な見直し案を詰め、必要な規則改正を行う。

研修によって実際に業務に就くまでに時間がかかることから、業界から負担軽減を求める声があがっていた。今後、eラーニングの導入などで研修を合理化し、能力や経験がある場合には時間数を減らす方向だ。

報告書はこのほか、能力が高い警備員を養成するための検定制度の見直しも盛り込んだ。講師1人当たりの受講者数などの基準を緩和するほか、講習内容をより実践的にする。

報告書は防犯カメラの映像解析や生体認証など情報通信技術(ICT)の活用も提言した。ただ同庁による警備会社445社を対象にしたアンケートでは、ICTを「活用している」とした企業は1割に満たなかった。活用しない理由として、知識がないことやコスト面を挙げた会社が多く、支援の必要性を明記した。

警察庁によると、警備員の数は全国で約54万人。直近の有効求人倍率は8倍を超え、人手不足が深刻化している。
2018/4/19 10:29
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29566160Z10C18A4CR0000/