日本年金機構がデータ入力を委託した情報処理会社で契約違反が発覚した問題で、機構は10日、外部の専門家でつくる調査委員会の初会合を開いた。個人情報を扱う業務の外部委託のあり方のほか、一連の問題の原因究明や責任の所在を明確にする。6月上旬に厚生労働省の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会に報告する。

 委員は計4人で、委員長には一橋大学大学院・国際企業戦略研究科の安田隆二特任教授が就任した。機構は業務効率化のため積極的な外部委託を進めており、再発防止に向けた事務処理や管理体制などを議論する。水島藤一郎理事長は委員会の冒頭、「(機構が)何を反省して何をなすべきか、厳しい目で検証いただきたい」と述べた。

 機構は昨年8月、所得税の控除に必要な申告書のデータ入力を情報処理会社のSAY企画(東京・豊島)に委託。しかし入力ミスが相次ぎ、2月支給で約10万4千人が本来よりも少ない支給額となっていた。契約に反して、中国の業者に作業を再委託していたことも発覚している。

 また、個人情報を扱う他の契約を調査する過程で、札幌市の企業でも契約違反の再委託が発覚するなど問題が広がっている。

2018/4/10 10:08
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29193630Q8A410C1EAF000/