27年後の2045年には東京を除くすべての地域で、人口が今より減少するという推計を国の研究所がまとめました。東京に人口が集まり、地方では大幅に減っていく傾向が改めて浮き彫りとなりました。

国立社会保障・人口問題研究所は、5年ごとに人口の将来推計をまとめていて、今回は自治体別の推計を公表しました。

それによりますと、2045年には日本の人口は1億600万人余りになり、東京を除くすべての道府県で2015年より減少する見通しです。

2045年までの30年間で、人口の減少率が最も大きいのは秋田で41%、次いで、青森が37%、山形と高知が32%などとなっています。唯一増加する東京は0.7%増える見通しです。

一方、市区町村別では全体の94%の自治体で、2045年の人口が2015年より減少し、人口が2割以上減る自治体は74%に上ると推計されています。

また、各地で高齢化も進みます。
65歳以上の人口は特に大都市圏と沖縄で大幅に増え、東京、神奈川、沖縄では2015年の1.3倍以上になると見られています。

全体の人口に占める65歳以上の割合は、秋田が最も高く50%と半数を占めるほか、青森で47%、福島で44%となる見通しです。市区町村別にみると、65歳以上の割合が人口の半数以上となる自治体が、全体の3割近くまで増えると見られています。

研究所は前回5年前の推計に比べると、人口減少や少子高齢化のペースは緩やかになっているとしていますが、東京に人口が集まり、地方では大幅に減っていく傾向が改めて浮き彫りとなりました。

人口問題に詳しいニッセイ基礎研究所の天野馨南子研究員は「東京は未婚率が高く出生率は低いので、人が集まっても日本全体の人口は増加せず、地方からの流出を食い止めることが極めて重要だ。東京ではなく地方でこそ、若い女性が働きながら子どもを育てられる環境を作る必要がある」と話しています。

秋田 人口流出に歯止めかからず
2045年までの30年間の人口減少率が全国で最も高い41.2%と推計された秋田県では、若い世代の人口流出に歯止めがかかりません。

毎年、高校の卒業生の半数以上が進学や就職で県外に出ていくため、年度末のこの時期、秋田駅では若者たちが家族や友人に見送られて、次々と新幹線に乗って旅立っていきます。

秋田市の高校を卒業し、進学で東京に行く女性は「秋田は好きだが、都会に憧れていて、都会の大学を選んだ」と話していました。

秋田市の高校を卒業し、就職で茨城に行く男性は「不安はあるが、それ以上に希望や期待があり、秋田では経験できない道を自分で歩んでいくのがとても楽しみだ」と話していました。

秋田市の高校を卒業し、進学で東京に行く男性は「秋田に貢献したいという思いが強いので、いつかは秋田に戻りたい」と話していました。

秋田県は去年、戦後初めて人口が100万人を下回り、今回は2045年に60万人まで減ると推計されました。前回、5年前に公表された推計よりも人口減少のペースが加速し、全国で人口減少のペースが緩やかになると推計される中、その流れから取り残されています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180330/k10011385581000.html