厚生労働省の有識者検討会は27日、職場でのパワーハラスメント(パワハラ)の防止策を盛り込んだ報告書をまとめた。指導とパワハラの線引きについて、職場での関係性や身体的・精神的苦痛があるかなど3つの判断基準を示した。焦点だった法規制は労使間の議論が平行線をたどり先送りされた。今後は労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で検討する見通し。

 報告書はパワハラの判断基準として(1)優越的な関係に基づいて行われる(2)業務の適正な範囲を超えている(3)身体的・精神的な苦痛を与える――を示した。企業側に相談窓口の整備や相談担当者向けの研修、被害者のプライバシーを保護するための規定づくりなどを求めた。

 検討会ではパワハラ行為を法的に禁止することを視野に議論した。労働者側はパワハラに対して法的根拠に基づいた実効性のある措置が必要と主張。企業側は社員育成などに影響が出るとの懸念からガイドラインの明示で十分との見解を示し、結論が出なかった。

 パワハラを含めた職場での嫌がらせは年々増えている。同省によると、2016年度には都道府県労働局や各地の労働基準監督署などに約7万1千件の相談があった。

2018/3/27 18:00
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28641090X20C18A3CC1000/