学校法人「森友学園」の国有地売却をめぐる決裁文書の書き換え問題で、安倍晋三首相は23日、閣議後の閣僚懇談会で電子決裁システムの導入の徹底など再発防止策を講じるよう全閣僚に指示した。「書き換えにより行政全体の信頼が損なわれ痛恨の極みだ。閣僚が先頭に立って、全ての政府職員が一からやり直すつもりで信頼回復に全力で取り組む」と強調した。

電子決裁システムは文書の修正などの履歴を自動的に記録する。全ての文書の決裁や保存、更新をシステム上で管理していれば、早期の不正発見や書き換えの防止につながる可能性がある。今回の森友学園をめぐる書き換えでは、14件の文書のうち1件は書き換え前の原本がシステム上に記録されていた。

総務省が開発した文書管理システムは各府省庁に導入されている。ただ、どの文書を電子化するかは各省庁に判断が委ねられており、電子化されている割合も省庁ごとに異なるのが現状だ。野田聖子総務相は閣議後の記者会見で、各省庁による公文書管理のあり方を調査し、電子決裁への移行が進んでいない原因や必要な対応策を検討する考えを明らかにした。

4月からは行政文書の恣意的な廃棄を防ぐ政府の指針見直しに基づき、各府省庁が検証に必要な行政文書を1年以上保存するよう定める新規則を適用する。財務省が昨年、森友学園に関する交渉記録を1年未満の保存期間の対象文書として破棄していたと明らかにした問題を受けた措置だ。

菅義偉官房長官は閣議後の記者会見で「新たな指針による厳格なルールを徹底し運用する」と述べた。
2018/3/23 11:30
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28478510T20C18A3EAF000/