20カ国・地域(G20)が、国境を越えたネット通販企業の電子商取引(EC)をめぐり、国ごとで稼いだ売上高に課税できる一時措置を導入する方向で調整していることが19日、分かった。同日から20日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催するG20財務相・中央銀行総裁会議で合意する見通し。進出国に支店などの恒久的施設(PE)がなくても課税できるルールを設け、通販業者の税逃れを防ぐ狙いだ。

経済協力開発機構(OECD)が16日に示したECに対する課税強化案の中間報告を軸に、G20は具体的な合意内容をまとめる。2019年内にも企業が国ごとの売上高などの情報を公表するためのルールを策定。この情報を基に各国の税務当局が課税できるようにする。

国内外企業の無差別を原則とする世界貿易機関(WTO)のルールを踏まえ、企業経営に大きな影響を与えないよう、措置は一時的にし、中小企業や適正に納税している企業などを配慮する事項を盛り込む。

20年までにPEの定義を改め、ネット通販を展開している国ごとに適切な法人税を課税できる長期対策を取りまとめる方針だ。

現在の租税ルールでは、企業は進出国に支店などのPEを持たなければ、原則、法人税は本社がある国で納める。また、法人税は利益に対して課すのが原則だが、ECでは、売上高から人件費などを差し引いた利益算出の難しさが課題となっている。そのため、20年までにネット通販などを展開している国ごとの利益を適切に算出できるルール作りを急ぐ。

ただ、アマゾン・コムなど大手通販企業を抱える米国は、余分な税負担が雇用や企業成長を妨げると反発。OECD内でも意見の隔たりがあり、国際協調によるルール作りは難航しそうだ。
2018.3.20 06:13
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180320/mca1803200500001-n1.htm