滋賀県多賀町の名神高速道路で2017年、スマートフォンを見ながらトラックを運転して多重事故を起こし、5人を死傷させたとして自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた新潟県見附市の元トラック運転手前田博行被告(50)に大津地裁は19日、禁錮2年8月の実刑判決を言い渡した。検察側が求刑していた禁錮2年を上回った。

今井輝幸裁判官は「ながらスマホ」の運転について「運転手が小さな画面に意識を集中させてしまう」として、新しい事故原因の形態に当たると指摘。検察側の求刑は従来の過失の類型に当てはめて過小評価していると述べた。

被告が起訴内容を認め、目的地までの時間を調べるために地図アプリを開いた点については「スマホ操作に緊急性はなく、非難の程度は相当高い」と判断した。

判決によると、前田被告は17年11月21日、名神高速の下り線でトラックを運転中、渋滞で減速していた前方の乗用車に追突して愛知県一宮市の会社員、水谷勇二さん(当時44)を死亡させ、さらに前の3台も巻き込んで4人にけがをさせた。

水谷さんの妻は閉廷後、「裁判官が遺族の思いを酌んでくれて感謝している。何よりも『ながらスマホ』をしないことをドライバーに意識してほしい」と述べた。審理では被害者参加制度を利用して出廷し、事故の可能性認識しながらのスマホ操作を「殺人と同じだ」と意見陳述していた。〔共同〕
2018/3/19 11:46
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28297870Z10C18A3AC1000/