郵便の利用が減るなど厳しい経営環境が続く日本郵政グループは、ことしの春闘で労働組合が要求していた賃上げを見送ることになりました。一方で、非正規社員の待遇を改善し、新卒社員の初任給を引き上げることになり、人手の確保を優先した形です。

組合員が国内で最も多いおよそ24万人に上る日本郵政グループの労働組合、「JP労組」は、ことしの春闘でベースアップに相当する月額平均6000円の賃上げを要求していました。

しかし、会社側は郵便の利用が減っているうえに、ゆうちょ銀行やかんぽ生命も日銀の金融緩和策による歴史的な低金利で資金の運用が難しくなり、厳しい経営環境が続いているとして、この要求には応じず、ベースアップにあたる賃上げは3年連続で見送られることになりました。

一方で、郵便や宅配事業の人手不足を解消するため、非正規社員の待遇を改善することで労使が合意しました。具体的には1月1日から3日までの年始の出勤には、正社員と同じ額の手当を支給することや、夏の一時金を能力などに応じて5000円から2万円の幅で上乗せすることなどが盛り込まれています。

さらに、この春入社する新卒社員の初任給を引き上げ、例えば転勤のない大卒の一般職は、現在の15万5800円から16万2100円に増やすことになりました。

厳しい経営環境を受けて、現役の正社員の賃上げを見送る一方で、非正規社員や新卒社員の待遇を改善し、人手の確保を優先した形です。
3月16日 0時47分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180316/k10011367011000.html