小学校で2020年度から英語が正式教科となるのを前に、小学校教員の間で英会話教室に通う動きが広がっている。単語、文法、表現力、発音……。「自信がない」と不安の声が漏れる。きちんと教えたいという熱意に応え、後押しする自治体も徐々に増えている。

大分市内の英会話学校。「It is a heart(ハートです)」。小学校教諭の重松優子さん(34)がペンダントの形を説明すると、すかさず「heart―shaped(ハート形)」と、英国出身の女性講師のチェックが入った。

重松さんは2年前から、文法や発音の指導を受けながら、会話の練習を続けている。当時は、小学校で「外国語活動」として英語が必修化されて数年がたち、文部科学省は小学校の英語教員の養成に力を入れていた。

重松さんも英語への取り組みの必要性を感じていたが、専門は数学教育。「英単語は知っていても、口から英文が出てこない状態だったんです」と苦笑いする。

全国で250の英会話学校を運営する「イーオン」(東京)によると、重松さんのような小学校教員の生徒数は最近5年間で約8%増えた。「英語の教え方が分からない」などの声が多く寄せられているという。

国は11年度から、国際競争力を高めるために、小学5、6年で外国語活動を全面実施。週1こま程度で、児童はゲームや歌を通して、簡単な表現を学んでいる。20年度から外国語活動は3、4年に移る。5、6年では成績評価対象の「教科」となり、学習時間は2倍に増える。

文科省は、各都道府県単位で小学校の英語教育の中心となる「リーダー」の育成を5年計画で進めているが、教える側のプレッシャーは大きい。

秋田県教育委員会は、「リーダー」のみを対象としていた短期研修を、数年前から5、6年の担任にも拡大。秋田市の国際教養大と共に、同大の留学生との模擬授業を行うなどして支援する。

福岡市教委は、外国人らが通う「福岡インターナショナルスクール」(同市)と連携し、教員向けの英会話教室を始めた。週1回1時間、ネーティブが教え、受講料には補助制度がある。

市教委によると延べ約400人が受講し、最近は小学校教員が約8割を占める。「微妙なニュアンスの違いが分かりやすい」などと好評という。

児童らに「間違ったことを教えたくない」という思いで、英語の勉強を続けてきた重松さん。児童に「発音がかっこいい」とまねされるまでになり、「自信が付きました」と笑顔を見せた。〔共同〕
2018/3/6 11:53
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27741920W8A300C1ACX000/