【ニューヨーク=大塚節雄】インターネット通販大手アマゾン・ドット・コムが米銀大手JPモルガン・チェースなどと組み、ネット決済専用の預金口座に似たサービスを検討していることが明らかになった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が5日報じた。銀行に口座を持っていなくても買い物の料金を決済できる仕組みを整え、若者の取り込みを狙うという。

ウォール紙は関係者の話として、今回の協議がアマゾンの銀行業への進出につながるわけではないと伝えている。だが、個人向け金融の分野でもアマゾンの存在が大きくなっていることを象徴しているといえそうだ。

報道によると、アマゾンはJPモルガンと米銀キャピタル・ワン・ファイナンシャルとの間で協議を進めている。協議は初期段階にあり、サービスの詳細は不明なほか、合意に達しない可能性もあるとしている。

アマゾンは銀行などに支払う手数料を減らすため、以前から自前の「口座サービス」を持つことを検討し、昨年秋に銀行側に提案を募ったという。収入や支出行動の詳細など、顧客データのさらなる蓄積も意識している可能性がある。

米大手銀側は、インターネットを使いこなす「ミレニアル世代」と呼ぶ若年層の取り込みに苦戦し、スマートフォンのアプリの充実など、新たな銀行取引サービスを急いでいる。アマゾンと組むことで若年層向けビジネスの足がかりにする狙いもあるようだ。

米株式市場では、アマゾンの急激な業容拡大のあおりで小売業界やドラッグストア業界などが苦境に陥る「アマゾン・エフェクト」が話題になっている。アマゾンとJPモルガンは1月、米運用会社バークシャー・ハザウェイと組み、3社の従業員向けにヘルスケアサービスを提供する新会社を設立すると発表しており、その際も医療保険会社などの株が売られた。
2018/3/6 4:21
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27737640W8A300C1000000/