熱戦を繰り広げた2018年平昌冬季オリンピックが閉幕した。日本選手団のメダル獲得数は金メダル4個を含む計13個となり、1998年長野大会の10個を上回る過去最高となった。オリンピックで大活躍する日本選手を応援しているうちに、ウインタースポーツを新たに始めてみようとか、久々にスキーでもやってみようと感じたのは私だけではないと思う。

?またオリンピックに加えて、昨年12月からJR東日本が展開している「JR SKISKI」の、同社発足30周年と映画「私をスキーに連れてって」公開30周年の特別企画キャンペーンも、私を含めバブル時代を知っている世代はもちろんのこと、バブル時代に憧れる若者世代をゲレンデに向かわせたかもしれない。

?そこでゲレンデがどれくらい盛り上がっているかを実地調査するため、オリンピック開催中の平日にJR東日本グループが運営するGALA湯沢へ行ってみた。その結果は中国の春節期間の平日だったこともあってか、来場者の半分というのは言い過ぎかもしれないが、約3分の1ぐらいはアジア人を中心とした外国人観光客が占めていたように見えた。そこで今回のコラムでは、あらためて街中のみならず、地方の観光地でも一段と増加した印象の訪日外国人とインバウンドについて考えてみたい。

中小型成長株もびっくり
?まずは足元の訪日外国人の状況を日本政府観光局(JNTO)の統計を参考にまとめてみた。2017年の訪日外国人数は前年比19.3%増の2869万とJNTO が統計を取り始めた1964 年以降で最多となった。19%増という数字は中小型成長株もびっくりの成長率だが、増加した背景にはLCCはじめ航空路線の拡充やクルーズ船寄港数の増加、査証要件の緩和に加え、継続的な訪日旅行プロモーションがあったことが挙げられる。

?国別の訪日外国人数は最多が中国の735万6000人、2位は韓国の714万人、3位は台湾の456万4000人、4位が香港の223万2000人で、この4地域だけで全体の74%を占めている。GALA湯沢でアジア人が多いと感じたのはこのデータからも明らかである。

?一方、前年比の伸び率ではトップはロシアの40.8%増でこれには査証要件緩和の効果が大きく効いているようだ。2位は韓国の40.3%増、3位はベトナムの32.1%、4位はインドネシアの30.0%増と続くが、これら伸び率の高い国では「日本人気」が高まっていることが考えられる。

?ただ、日本における訪日外国人の受け入れ態勢はまだ万全とはいえず、今後改善する余地はまだまだ大きい。たとえば無料でつながる無線LANエリアが少ないとか、観光案内板・鉄道の路線図・地図などがわかりにくいとか、もしくは多言語標記の少ないといった話はよく知られているが、ほかにもイスラム教徒向けの食のハラル対応なども重要で、このような点を改善していくことで日本人気はさらに高まることが期待される。

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