【シリコンバレー=藤田満美子】電子商取引(EC)の米イーベイは27日、シンガポールのインターネット通販サイト運営企業ジオシスから日本事業を買収することで合意したと発表した。ジオシスが日本で展開するネット通販サイト「Qoo10(キューテン)」の資産を買い取る。買収によってイーベイは、日本国内でのネット通販事業に再参入する。

イーベイのデヴィン・ウィニグ最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材に応じ、「急拡大しているキューテン日本事業の買収で基盤を構築し、アジアでの事業拡大にもつなげたい」と述べた。また、「日本のEC市場規模は世界で3番目に大きいがEC普及率はまだまだ低く、拡大の余地は大きい」と強調した。

買収額は公表していないが、米メディアの推定によると7億ドル(約750億円)。規制当局の承認などを経て、買収手続きは2018年6月末までに完了する予定。ジオシスは米イーベイが出資した合弁会社で、日本や中国、インドネシアなどアジアの6カ国・地域で通販サイトを展開する。キューテンの日本事業は若い世代を中心に約200万人の利用者を抱えている。

イーベイはネット競売サイトとして急成長したが、現在では固定価格で購入できる商品の割合が9割近くに達しており、通常のECサイトとして利用されている。日本には99年に競売サイトとして進出したが、業績低迷をうけて02年に撤退。その後、海外の消費者に商品を販売したい日本企業向けの越境EC支援ビジネスを09年から日本で展開している。
2018/2/28 8:01
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27487020Y8A220C1000000/