規格に合わなかったり、賞味期限が近づいたりした食品を生活に困る人に提供する「フードバンク」の活動を支えようと、福岡県が食品の流れを一括で管理する仕組みを新年度に開発する。県が19日発表した。転売や衛生管理といった、食品を提供する企業側の懸念を取り除く狙いがある。

 福岡県が開発するシステムでは、独自のバーコードを提供された食品に貼り、各段階で読み取って流通の経過を一括で管理する。牛肉の生産や流通の履歴をたどれるトレーサビリティー制度と似た仕組みだ。

 県内では福岡、北九州、久留米、大野城の4市でフードバンク団体が活動し、食品の取扱量も増え始めている。ただ、フードバンク団体が食品の履歴を管理しようとしても、費用などの面から団体ごとにシステムを開発するのは困難だ。手動でパソコンに入力しているのが現状という。

 一方、フードバンクに食品を提供する企業にとっても、食品が転売されたり横流しされたりすれば、販売への影響や衛生上の問題が起きかねない不安を抱える。新たなシステムで管理すれば、万が一食品を回収する際も素早く対応でき、企業側もより協力しやすくなると県は見込んでいる。

 福岡県は、食品を提供できる企業を探したり、提供してもらう際の取り決めをまとめたガイドラインを作ったりするなど、2016年度から食品ロスの削減に取り組んできた。フードバンクに提供される食品を一元的に受け付ける窓口はこの秋にもできる見込みで、県も設置も後押しする。フードバンクを支えるシステムづくりに行政が乗り出す例は珍しいという。(小川直樹)

2018年2月19日12時13分
朝日新聞デジタル
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