政府は、海外進出後の中小企業を対象に新たな経営支援策を設ける検討に入った。政府系機関や商社などが一体となって包括的なサポート体制をつくり、現地で生産性を高める自動化設備や人材への投資を促す。現在は進出から年月がたつと支援が行き届かなくなり、設備老朽化や人材不足に悩む企業が多く、課題の解決につなげる。

まず東北地方でモデルケースの構築を試み、全国に広げたい考え。中小企業の国際化が後退しないようにする。新たな支援策は東北経済産業局が26日、東北6県や経済団体などが集まる「東北地域貿易促進協議会」で提案する。東北は進出例が相対的に少なく、きめ細かい対策を練りやすいと判断した。

設備投資への補助金や税制優遇は、国内拠点をメインの対象としてきたが、中小の海外事業にも活用できるよう検討する。また海外産業人材育成協会(東京)による研修支援、政府系の国際協力銀行と地方銀行の協調融資、技術指導する専門家の派遣、現地での経営監督代行なども組み合わせ順次実施する。

経産省によると、2015年度末の日本企業(大企業含む)の海外法人は2万5233社。うち製造業が4割超を占め、海外生産比率は25.3%と過去最高になった。一方、15年度に撤退した海外法人は724社に上った。前年度より100社近く増え、増加分の6割がアジアだった。進出時の支援機関との関係が薄れて設備や技術が更新されず、伸び盛りの現地企業との価格競争に負ける例があるという。

大企業はロボットなどの導入や現地スタッフを日本に招いての研修も可能だが、中小は設備の費用負担が重く、幹部候補生の育成に手が回りにくい。在庫管理や財務といった間接部門が弱いケースも目立ち、総合的な対策を検討する。

2018.2.19 05:00
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180219/mca1802190500005-n1.htm