金融庁は、外部からの不正アクセスで約580億円分の仮想通貨が流出した仮想通貨取引所大手のコインチェック(東京・渋谷)に対し、改正資金決済法に基づく業務改善命令を出す方針だ。不十分な安全対策で、多額の顧客資産が奪われた事態を重大視。一部業務の停止命令を併せて発動することも視野に、再発防止と抜本的な管理体制の強化を求める。

金融庁はコインチェックから受ける報告内容を踏まえ、処分の時期や内容を慎重に判断する。今回の流出は2014年に約470億円分の仮想通貨ビットコインが消えた「マウントゴックス事件」を上回り過去最大の規模になる。今月26日に同社のシステムが不正アクセスを受け、顧客の「NEM」と呼ばれる仮想通貨のほぼすべてが流出した。

 今回の不正アクセスによる流出は、コインチェックによる甘い安全管理体制が原因とみられている。金融庁は同社から、仮想通貨の管理状況や推奨されていた安全対策の仕組みを採用していない経緯などを聴取。そのうえで管理体制や安全対策の抜本的な強化を求める業務改善命令を出す見通しだ。

 改正資金決済法は業務改善命令とあわせて、業務の全部や一部の停止を命じることができると規定している。金融庁は、いったん取引所の業務を止めさせたうえで、対策に当たらせる必要があるかどうか、利用者への影響も考慮しながら慎重に判断する方針だ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26244400Y8A120C1000000/