米インテルのCPU(中央演算処理装置)にセキュリティー上の脆弱性が見つかったとする英メディアの報道の余波が広がっている。3日の米市場でインテルの株価は一時6%下落。3日午後にはインテルが「当社の半導体の欠陥ではなく、産業全体で取り組んでいた問題」との声明を発表した。

 発端は英テックメディアのザ・レジスターが2日夜に「インテルの半導体にセキュリティー面で問題のある設計上の欠陥が見つかった」と報じたことだ。対象は過去10年以上にわたって供給した製品で、ソフトウエアで問題を修正するために「動作速度が5〜30%遅くなる」としていた。英BBCや米CNBCなど多くのメディアが報道を引用し、3日の米市場でインテル株は急落した。

 ただ、3日午後にインテルは「インテル製品固有の『バグ』や『欠陥』による脆弱性という報道は正しくない」との声明を発表。悪意のある攻撃でコンピューターの情報を取られる恐れがあるとグーグルの研究チームが数カ月前に発見したのを受け、産業全体が認識していた問題だと説明した。

 アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)や英アーム・ホールディングス、複数のOSメーカーなどと共同で対策を進めており、来週から順次ソフトウエアなどの更新を行う準備をしているところだったという。アームは日本経済新聞の取材に対し、インテルや他の半導体メーカーと協力していることを認め、「アーキテクチャー(半導体の設計構造)の欠陥ではない」とした。

 インテルは更新に伴う動作速度低下の指摘についても、3日午後に開いた投資家向けの電話会見で「平均的な利用では目立って感じることはない」(スティーブ・スミス副社長)と説明した。

 一方、マイクロソフトは「半導体メーカーと密接に協力しており、クラウドサービスへの対策や『ウィンドウズ』の顧客を守るための更新を展開中だ」としている。マイクロソフトによれば「これまでに攻撃が確認された事実はない」という。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25302030U8A100C1EAF000/