2017〜18年の年末年始の日並びは、旅行業界にとっては恵みとなりそうだ。1月4日と5日を休みにすれば、12月29日から11連休が可能になるためだ。

 JTBが発表した年末年始(12月23日〜18年1月3日)の旅行動向見通しによれば、海外旅行人数は前年比2.8%増の70万4000人と過去最高になるという。ある旅行会社の営業担当者は、「スペインなど欧州の予約が増えている。シンガポールやハワイもいい」と笑みを浮かべる。

 ただ、財布のひもは決して緩んでいるわけではなさそうだ。旅行予約サイトを運営するリクルートライフスタイル・エイビーロード・リサーチ・センターの森戸香奈子研究員は、「空港別ツアーで最も伸びているのは成田(国際)空港。LCC(格安航空会社)を利用したツアーが増えているからだろう」と明かす。ちなみに、エイビーロードへの問い合わせ件数のトップ4は、台北(台湾)、オアフ島(米ハワイ州)、セブ島(フィリピン)、バンコク(タイ)だという。

 さらには1月4日、5日出発のアジア旅行も伸びている。年末年始に比べて、航空券などの料金が安くなるためだ。

「年末年始から成人の日にかけて、申し込みが分散化している」(森戸研究員)との見方もある。日並びに加えて、分散化も年末年始の需要増に貢献したのだ。


思い返すと、17年は秋分の日が土曜日になるなど、振り替え休日に恵まれない年だった。それに対して18年は日曜日になる祝日が多く、3連休が増える。

 海外旅行はもちろん、国内旅行にも追い風だ。ホテルや旅館では連泊につながり、収益が上がる。沖縄や北海道などLCCを利用した旅行が伸びると、業界内での期待は大きい。

 さらに、台風の目になりそうなのがキッズウイークだ。夏休みなどの学校の長期休暇の一部をずらして休みを分散させる制度で、時期や期間は自治体が決めるため、観光地や交通機関の混雑を避けることができる。すでに導入を決めている岐阜県羽島市では、市内の小中学校を対象に、夏休みを削り、体育の日を含む3連休の後に2日の休みを追加して5連休にするという。

 もっとも観光業界においては、「親が休めるのかが問題」と冷ややかな見方が多い。

 政府は「休み方改革」と称し、有給休暇の消化率の増加にもつながるとして、キッズウイークの普及を目指しているものの、18年度に導入する自治体は現時点でも10カ所程度。様子見している自治体がほとんどだ。

 キッズウイークよりも、振り替え休日などで3連休を増やしてほしいというのが旅行・観光業界の本音だろう。
http://diamond.jp/articles/-/153304