Qualcommは12月5日〜12月7日(現地時間)の3日間にわたって、技術説明イベント「Snapdragon Tech Summit」を、米国ハワイ州マウイ島で開催している。

 2日目となる12月6日の午前中には、前日に行なわれた基調講演で発表された同社の最新ハイエンドSoC「Snapdragon 845」の詳細が説明された。

 Qualcommによれば、Snapdragon 845はオクタコアCPUのKryo 385、新デザインGPUのAdreno 630、AI対応アプリを実行できるDSPのHexagon 685、さらには4K/60fpsの動画の撮影を可能にするISPのSpectra 280などから構成されているヘテロジニアス構成のSoCで、Samsung Electronicsのファウンダリサービスが提供する10nm LPPというプロセスルールで製造される。

 すでにOEMメーカーに大量出荷が開始されており、Snapdragon 845を搭載したスマートフォンなどは、来年(2018年)の前半に市場に登場する見通しだ。

CPU、GPUが新設計に、Samsungの改良版10nmプロセスルールで製造
 Snapdragon 845の特徴を、従来世代のSnapdragon 800シリーズと比較してまとめたものが以下の表1となる。基本的にはどのユニットも強化されており、全体的に性能が底上げされていることがわかる。

製造プロセスルールは現行世代Snapdragon 835と同じSamsung Electronicsの10nmプロセスルールを利用して製造される。ただし、同じ10nmプロセスルールではあるが、若干進化しておりSnapdragon 835が10nmLPEを利用していたのに対して、Snapdragon 845は10nm LPPを利用している。

 Qualcomm Technologies 製品管理担当上席副社長 キース・クレッシン氏は「10nmLPPは、10nmLPEに比べて最適化が進んでいるプロセスルール。このため、若干の性能向上と電力効率の改善が期待できる」という。

 ただ、前回のSnapdragon 835では30億と発表されていたトランジスタ数は、今回のSnapdragon 845は公表しないとクレッシン氏は述べた。
 CPUはKryo 280からKryo 385に、GPUはAdreno 540からAdreno 630へとアップグレードされており、クレッシン氏は「どちらもスクラッチから設計した新デザイン」と説明。また、DSPもHexagon 685に、そしてISPもSpectra 280へと強化されており、SoCに内蔵されているブロック全体に手が入れられている印象だ。

今回から新しく導入された機能としては「システムキャッシュ」がある。3MBのこのシステムキャッシュは、CPUだけでなく、GPU、DSP、ISPなど、SoCに内蔵しているブロックがメモリにアクセスするときのキャッシュとして利用できる。

 IntelのHaswell以降の一部製品で採用されているeDRAMと同じように、メインメモリのキャッシュとして動作し、メモリ帯域幅の圧迫を削減したりすることが可能になる。それにより、メモリへのアクセスを減らす効果もあるので、結果的に省電力でも効果がある。


 冒頭で述べたとおり、Snapdragon 845はすでにOEMメーカーへの大量出荷を開始した。2018年の前半に採用製品が投入される見通しだ。
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/1095559.html