三井化学の淡輪敏社長は15日に都内で開いた経営概況説明会で、基盤素材事業で年間300億円超の利益を安定して稼げる体制が整ったと明らかにした。従来は200億〜300億円を目指すとしていた。コストダウンや競争力の高い製品の比率引き上げが進捗した。一時は赤字が膨らんだお荷物事業だったが、リストラの断行で「金のなる木」に生まれ変わった。

三井化学の基盤素材事業は数年前まで業績の足を引っ張っていた。ただ、売上高の80%以上が競争力の高い差別化製品に切り替わった。市況変動が激しいフェノールやウレタンで事業縮小に踏み切ったこともあり、業績が急回復。「市況変動の影響を受けにくい事業構造になった」(淡輪社長)という。

 成長分野のモビリティ事業は、潤滑油材料「ルーカント」で国内の既存工場の能力増強を検討する。米国生産を模索してきたが、現地の建設費高騰から国内投資に方針転換する。次世代事業の有望株と見るのは、衝撃やひずみを感知して電圧をかける圧電センサー。椅子に搭載して座った人の生体反応を測るといった使い方があるという。

 2018年3月期の営業利益は1030億円と過去最高を更新する見通し。足元の好業績を踏まえ、18年5月に21年3月期が最終年度の新しい中期経営計画を発表する。現在は営業利益で1250億円を21年3月期の目標に据えている。淡輪社長は新計画の策定にあたり「19年から本格化する見込みのシェールガスの影響をどう織り込むかで変わる」との見方を示した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23500670V11C17A1X12000/