さまざまな事情で学校に通えなかった人たちの学びの場となっている公立中学校の夜間学級、いわゆる「夜間中学」の設置が、新たに全国80の自治体で検討されていることが、文部科学省の調査でわかりました。国は、多様な学びの場を確保するため少なくとも各県に1校の設置を自治体に求めていく方針です。
公立の夜間中学は、戦後の混乱で義務教育を受けられなかった高齢者に加え、最近は不登校や虐待などさまざまな事情で学校に通えなかった若者たちの新たな学びの場となっています。

しかし、現在、設置されているのは、東京都や大阪府など8つの都府県にとどまっていて、文部科学省はことし2月に教育機会確保法が施行されたことを受けて、全国およそ1800の教育委員会などを対象に、夜間中学の設置に向けた検討状況を調べました。

その結果、新たに高知県や熊本県など6つの県と、74の市町村が設置に向けた検討を進めていることがわかりました。また、現在、夜間中学に通う全生徒1687人のうち、60歳以上が456人と27%を占めた一方で、15歳から19歳の若者も342人と20%に上り、ほとんど学校に通えず形式的に卒業した人も73人いることがわかりました。

文部科学省は、夜間中学を多様な生徒の学びの場として拡充していく考えで、各県に少なくとも1校の設置を自治体に求めていく方針です。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171108/k10011214951000.html