リコーは30日、日清紡ホールディングス(HD)に半導体子会社を売却すると発表した。家庭やオフィスの印刷需要が落ち込み、主力の複合機が苦戦している。本業と相乗効果の見込みにくい事業を売却し、構造改革や産業用印刷機などの成長分野に経営資源を振り向ける。

 2018年3月1日をメドに、リコー電子デバイス(大阪府池田市)の発行済み株式の8割を日清紡HDに譲渡する。譲渡額は非公表。リコー電子はスマートフォン(スマホ)向けバッテリー保護ICなどに強く、17年3月末時点の従業員は600人弱。株式譲渡後にリコー電子はリコーの持ち分法適用会社になる。

 リコーは中核事業の複合機が振るわない。27日には経営再建中だったインド子会社に対する追加の財務支援を打ち切ると明らかにした。18年3月期の連結最終損益(国際会計基準)は従来の30億円の黒字予想から、一転して70億円の赤字になる見通しだ。最終赤字は12年3月期以来となる。

 業績不振からの脱却を目指し、4月には構造改革計画を発表。ものづくりの自前主義や直販・直サービスなどを見直し、20年3月期までの3年間で1000億円以上のコスト削減効果を出す計画だ。複合機の立て直しとともに、新しい収益源の確立も欠かせない。来春にも発表する予定の成長戦略に注目が集まる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22872240Q7A031C1X1F000/