介護事業者の利益率が低下している。
厚生労働省が26日公表した介護事業経営実態調査によると、全サービスの2016年度の利益率は平均3.3%で、前回14年度調査の7.8%に比べ縮小した。
15年度に介護報酬が引き下げられたことに加え、人件費が上がったことが影響した。
ただ利益率はサービスごとにばらつきがあり、事業の効率化も求められそうだ。


 介護保険でサービスを提供している約1万5千の事業所の16年度決算から集計した。
前回調査に比べると全22種類のサービスのうち19で利益率が低下した。
代表的なのは特別養護老人ホームで、利益率が1.6%と前回より7.1ポイント下落した。


 一方、比較的利益率が高かったのは自宅で介護を受ける人が食事や軽い運動のために通うデイサービス事業。
利益率は前回よりも6.5ポイント下がったものの、4.9%を確保した。訪問介護事業の利益率も4.8%と比較的高かった。


 介護サービス事業者の収入となる介護サービスの単価である介護報酬は3年ごとに改定する。
経営実態調査はそのための参考数値となる。前回の報酬改定では全体的に利益率が高かったため、改定率はマイナス2.27%となった。
介護業界の人手不足で人件費も上がり、経営を圧迫している。

 介護保険制度が始まった00年と比べ介護給付費は17年度までに約3倍に膨らみ、10兆円を超えている。
事業者の収益が悪化傾向といっても、費用の抑制策は必要になる。
特にデイサービス事業など一部介護事業は、必ずしもサービスを必要としない高齢者に利用させたり、
サービスが高齢者の自立に役立っていないといった指摘がある。こうした無駄を省くような報酬設定が欠かせない。

日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22750690W7A021C1EE8