楽天と楽天FinTech各社は9月27日、「Rakuten FINTECH CONFERENCE 2017」を開催した。キーノートスピーチでは慶應義塾大学名誉教授で東洋大学教授の竹中平蔵氏が登壇し、昨今の日本経済と第4次産業革命に関するスピーチを行った。

竹中氏は「内閣府の見解によりますと、日本の景気は緩やかに回復しています。世界経済も同様で、穏やかではあります景気は回復に向かっています」と述べ、「2016年はブレグジット(イギリスのEU離脱)にアメリカの大統領選挙という"乱気流"が発生しました。社会の分断が発生し、その分断を引きずったまま乱気流はまだ続いていると言えるでしょう」と世界経済を分析した。

2016年、年初に約1万8000円だった日経平均株価は、ブレグジットが可決された6月24日に1万5000円を割り込むが、トランプ相場によって年末にかけて約1万9100円まで上昇した。竹中氏が乱気流にたとえた海外の出来事は、日本にも大きな影響を与えていることがわかる。

「しかし、われわれはその乱気流を抑制しながら、大きな風に向かっていかなければなりません。乱気流に対して、この風をたとえるなら"偏西風"。それが第4次産業革命と言われるものです」

第4次産業革命とは、18世紀末以降の機械化を第1次産業革命、20世紀初頭の分業に基づく電力を用いた大量生産を第2次産業革命、1970年代初頭からの電子工学や情報技術を用いたオートメーション化を第3次産業革命とした時、IoTやビッグデータ、AIなどを活用した新たな技術革新のことを言う。産業の在り方が大きく変わり、社会の仕組みや働き方がダイナミックに変化する可能性も少なくない。

「第4次産業革命がいつごろから取り上げられるようになってきたのか、正確なところはわかりませんが、私の認識では、日本政府の対応は決して早くはなかったと感じています」と、竹中氏。

2011年にドイツのハノーバーメッセで「インダストリー4.0」という言葉が登場し、2012年ごろからアメリカとイギリスがビッグデータを整備するための新たな仕組みづくりに取り組み始めた。また、同じく2012年ごろからはディープラーニングも登場したとされている。

しかし、日本が第4次産業革命を明確に意識し、官民の体制を作ろうという議論が出てきたのは、2016年の成長戦略からだった。

「日本は他国より第4次産業革命に取り組み始めた時期が3〜4年遅れをとっているということを謙虚に認めて、対応していく姿勢が必要だと思います。AIで出遅れたとしても、それをロボットに組み込む技術などにおいては高いポテンシャルがあるはず。こうした認識を官民で共有して、それぞれがやるべきことを正しく把握し、進めていくことでチャンスはきっと訪れるでしょう」

以下ソース
http://news.mynavi.jp/articles/2017/10/13/Rakuten_FINTECH_2017_1/