日銀の黒田総裁は、金融政策決定会合のあとの記者会見で、政府の財政健全化目標の達成が危ぶまれている状況について、「財政規律が緩めば国債の信認に影響が及ぶおそれがある」などと述べ、財政規律を守る重要性を強調しました。
政府は、先進国で最悪の水準にある財政を立て直すため「基礎的財政収支」という指標を2020年度までに黒字化させることを目標に掲げていますが、社会保障や教育、防衛など各分野で歳出拡大の圧力が高まる中、達成が危ぶまれています。

黒田総裁は21日の記者会見で、こうした状況について問われると「財政規律が緩めば国債に対する信認に影響し、金利が上昇するといったおそれがある」などと述べ、財政規律を守る重要性を強調しました。

そのうえで、財政の健全化が進まないことについて改めて問われると「個人としてはいろいろ申し上げたいことはあるが、日銀の総裁として意見を言うのは控えたい」としたうえで「財政規律は政府・国会も重要だと認識している」と述べ、財政再建の取り組みが進むことへの期待感をにじませました。

一方、「短期金利」と「長期金利」に誘導目標を設ける金融緩和の強化を決めて1年がたったことについて、黒田総裁は「金利が低い水準で安定し、経済にプラスになる形が維持されたのは想定どおりだが、物価の上昇が遅れているのは事実だ」と述べ、2%の物価上昇率の実現に向けて、今の大規模な金融緩和を続け、必要なら追加の緩和を辞さない考えを示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170921/k10011151091000.html